130度30分の星制作の概要
2021年、130度30分の星プロジェクトについて簡単にご説明します。2020年はじめ40年来のお付き合いのあるK先生(ご本人に確認してないのでK先生にします。元芸術大学の教授の先生です)から、 近藤君、来年屋久島で大きな仕事があるんだけど手伝ってくれないかと言われ、当初90才近い先生で、もうほとんど制作活動してないし、それにここ25年以上日本は経済発展してないし、デフレだし、芸術家にとってこんなに厳しい時代はないので思はず、先生本当ですか?と聞き直したのが始まりでした。
屋久島って縄文杉くらいしか知識がなく、どこにあるんだとググってみると鹿児島のちょっと先なんだ、沖縄のほうだと思ってたので驚きでした。それから先生と何度か打ち合わせをして、キイワードは
”星”それに高さ5m近いモニュメント(下の図面のところで寸法わかると思います)でこのスケールとなるとシンプルな形で、ワンポイントそれこそキラリと光る星をイメージできる形、先生のイメージは解った、後は石専門の自分の経験と実績でまとめよう。10分の1の模型をいくつか作り最終的にこの形を考えました。最も重視したのは安全性、屋久島は雨が多く強い台風も来るそして地震にも耐える形でした。先生と最終確認をしこれで行こうとなりました。あとは予算とこれをどこで作るかです。
私は、愛知県岡崎市生まれで愛知教育大学の美術科修士を卒業しました。大学2年の時、石の集中講義を受け、石にはまり先生にもならず今に至ってます。そんなことはどうでもいいのですが、台座の石でも1500x1500x300㎜が4枚で構成してますので、岡崎の石屋さんでは1500㎜を切る切削機はない、岡崎は石の町で多くの石屋さんがありますが、墓石中心で大きな機械はないのでやはり中国でとなります。小泉内閣でのグローバル化の掛け声のもと3K職種は中国へ全部逃げていき現在は岡崎の石材業界はとても厳しい状況です。私も80年代後半から90年代たびたび中国に行きました。その関係は今でも続いてます。今では設備投資できない岡崎の石屋より中国のほうが製品の制度は高くなり、これで日本はいいのかと思っています。しかし地元でできないので中国に行くしかないのが今の状況です。ですから今回も、中国で作り船で運び岡崎で最終調節をして、屋久島へ陸送しました。
屋久島 おおぞら高校
130度30分の星の意味
130度30分の星の意味を書く前に緯度(いど)と経度(けいど)について少し書きます。経度は地球の北極と南極を結ぶ線です。イギリスのグリニッジ天文台を通る経線が0度で、その東側が東経(とうけい)、西側が西経(せいけい)となります。度数は地球の中心からの角度です。緯度については赤道から平行に引く線になり緯線といいます。そして北半球は北緯(ほくい)、南半球は南緯(なんい)となります。日本は北半球なので北緯、グリニッジ天文台の東側なので東経となります。ちなみに富士山は北緯35度、東経138度くらいです。1度=60分=3600秒です。前書きが長くなりましたが、今回の(130度30分の星)のタイトルは正確に言えば東経130度30分の星となります。富士山と8度しか違わないのです。地球は大きいですね。それではなぜ130度30分なのかといえば、屋久島北部の八幡神社、七五岳山頂、標高1488m(屋久島の最高峰は宮之浦岳1936)そしておおぞら高校を結ぶ線になります。神社、霊山、おおぞら高校が一直線で結ばれるラインとしてこのタイトルに決定されたそうです。そして屋久島はとても星がきれいな島でもあり、この形になりました。
モニュメント設置風景と屋久島の自然
図面および加工書
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